さて、今日は簿記について書いてみたいと思います。
簿記=経理部門というイメージが強いと思いますが、経理の仕事でなくとも簿記を学んでおくべきと考えるようになりました。
私は電気設備の技術者なのですが、昨年は簿記の取得にチャレンジして、無事、簿記2級まで取れたのが今年の2月。
取得してから感じたのは「経理じゃなくとも簿記は役立つ、いやむしろ技術者こそ簿記を学ぶべき」ということでした。
技術者が簿記を学び始めたわけ
私は高校から技術一辺倒で会社員生活を送ってきた人間なのですが、正直経理を侮っていました。
技術者も数字を操る仕事なのですが、より高度な計算をする理系の方が格上という理系マウントに浸っていたのです。
そんな私が、総務に異動することになり毎月の支払いなどをしているうちに、会計のことを知らないことに危機感を覚えた訳です。
技術者は専門分野の計算ができればなんにも困らないと思っていましたが、簿記の「貸方」や「借方」すら分からないと実務に支障が出るようになりました。
そんな訳で簿記を初歩から学ぶようになったのが昨年でした。
簿記を学んで良かったこと
昨年、簿記2級を取ることを決意して無事合格することができました。
簿記の知識がついてからというものの仕事の進め方に変化を感じるようになったのでまとめてみたいと思います。
設備のコストについて理解が深まった
設備というのは当然コストが掛かります。設備は会社の資産なので財務諸表に影響を与えるものです。
新しく設備を取得すれば資産となりますし、減価償却を重ねることで資産価値が下がっていきます。
壊れて修理すれば修繕費、撤去するときには除却損として計上する必要があります。
こうして設備を取得してから運用、修理、除却というライフサイクルの中でどのようなお金の流れがあるのかということを理解できるようになりました。
ただ漫然と修理をしているより「これは現状回復だから修繕費(収益的支出)だな」とか「この修理は機能がアップするから資産として簿価が変わるな」といった感じで、新しい見方を獲得できた訳です。
自分の説明に説得力を持たせることができた
ある程度、責任ある立場になってくると会社の経営層と話す機会も増えてきます。
会社の経営者の一番の関心事は「どのようにして利益を出すか」ということに尽きると思っています。
会社は利益を出すための集団なのですからそれも当然のことです。
しかし、経営者は叩き上げでない限り設備に関する知識は乏しいので、採算性を重視する傾向にあります。
他方、現場の技術者は利益よりも専門技術を重視しがちですが、それだけでは経営者からの信頼は得られません。中堅以上になってくると技術的な知見と経営的な視点の両面から物事を見ることが必要になってきます。
そこで簿記を学ぶことで技術者に不足しがちな経営的な視点をプラスできるので、経営者に説明する際にも説得力に深みが出てきます。
先日、今まで使用してきた設備が使用不可能になり、経営層は修理して使い続けたかったようで修理するか否かといった判断をする局面に出くわしました。
技術面では修理してもメリットはないことが明らかだったのですが、それだけでは経営層にあきらめてもらうことは出来ません。
そこで簿記で学んだ知識を生かし、残存簿価と修理費用や収益性を説明することで設備を修理して使い続けても採算が取れない。ということを説明することができました。
今までなら「部品が手に入らない」「メーカーでも修理できない」とか技術的なことだけで説得していたのですが、そこに会計の視点が加わったことでより説得力を持たせることが出来た訳です。
まとめ:技術者でも簿記は役に立つ
今日は私が簿記を学んで変化したことについて書いてみました。
中堅以上になると技術者でも経営の視点を求められます。そんなときに簿記を学んで置くと便利です。なにより技術×会計という組み合わせで自分の強みの幅が広がります。
何より会計知識はどんな会社でも必要とされ、汎用性も高いのでもしものときの備えに勉強してみてはいかがでしょうか。
ちなみに簿記1級は専門性が高くオーバースペックなので、技術者である私は2級で十分だと思っています。